はじまりは、
「舞台女優になれない」と、思ったこと。
小学校のころから劇団にはいっていて、子役としてテレビにもいろいろと出演していて、ずっとミュージカルの女優になることを目ざしていました。でも、高校で大きなオーディションに参加したんですが、その時にたくさんのすごい才能をみて、結局、落ちて。落ち込みましたね。挫折です。はじめて「踊ること、歌うこと」が怖いと思ったんです。そんなタイミングで母から「美容はどう?」って言われて……。「表面的な美しさだけでなく、精神的にも内側から美しくなれることを勉強したい」。そんな思いが強くて、やっと見つけたのが山野でした。技術だけじゃない、知識も教養も含めて学びたい。そう思ったんです。
自分の知らない世界は、すぐ近くにあった。
山野の先生は「たくさん相談に乗ってくれた」って言葉が一番ふさわしい気がします。実はそのころもまだ舞台をやっていて「あきらめろ」と言わずに、「なぜやりたいのか」を一緒に考えてくれました。それから友達も刺激的でした。コスプレが大好きな子がいて「なんでそんなカッコウするの?」って聞いたら「自分じゃない、誰かになれるから」って返ってきました。それって舞台とおんなじだ、って。人に対する見方、モノに対する考え方が狭かったって、思えたんです。
美容に逃げているのかもしれない。
就職活動の時に、まだ悩んでいて。実は……、舞台の仲間に「美容に逃げた」って思われたくなかったんです。先生に正直にそのことを相談したら「水島さんの好きなことをやったら」って言われて。その時、初めて「自分は美容が好きなんだ」ってちゃんとわかったんです。「逃げじゃない。選んだんだ」って。そうしたらどんどん考えがまとまって「美容界で活躍するぞ!」って。「新人の中でNO.1になるぞ!」って、踏み出せる気持ちになれたんです。
「仕事を辞める」ではなく、
「好きなことに進む」と思えた。
実際にエステの会社に就職して、本当にその代の新人トップの成績で表彰されて、先生にも報告に行って、嬉しいはずなんですけど、何かが違うように感じてきて。自分の中でストレスが溜まっていったんです。やっぱり、一人一人と向き合いながら、お客さまそれぞれの外側だけでなく、内面から生まれる美しさを磨けるようなお手伝いをしたい、と思うようになって。それで、先生に報告に行ったんです。やっぱりちょっと気まずいですよ。「NO.1になるって宣言して、もう辞めるの?」っていう感じじゃないですか。そうしたら「水島さんの好きなことをやったら」って、また言われたんです。だから、今は好きなことをやっています。もし、先生に出会っていなかったら、今も人生を迷っているかもしれない。決断!なんて力をいれなくても、きっと好きなことに進むことで、自然と決断していけるんだ、と思います。