本学について 自己点検評価

第三者評価結果

学校法人山野学苑 山野美容芸術短期大学 機関別評価結果(7年毎に実施)

平成22年3月18日 財団法人短期大学基準協会

山野美容芸術短期大学の概要
設置者 学校法人 山野学苑
理事長名 山野 正義
学長名 山野 正義
ALO 近藤 陽一
開設年月日 平成4年4月1日
所在地 東京都八王子市鑓水530
設置学科及び入学定員(募集停止を除く)
学科 専攻 入学定員
美容芸術学科   160
美容保健学科   160
美容福祉学科   80
合計 400
専攻科及び入学定員(募集停止を除く)
専攻科 専攻 入学定員
専攻科 社会福祉専攻 20
専攻科 芸術専攻 40
合計 60
通信教育及び入学定員(募集停止を除く)

なし

機関別評価結果

山野美容芸術短期大学は、本協会が定める短期大学評価基準を満たしていることから、平成22年3月18日付で適格と認める。

機関別評価結果の事由

1.総評

平成20年7月7日付で当該短期大学からの申請を受け、本協会は第三者評価を行ったところであるが、評価の結果、当該短期大学は、自らの掲げる教育理念の実現及び教育目標の達成に向けて順調に進捗しており、本協会が定める短期大学評価基準を満たしていると判断した。
上記の判断に至った事由は、おおよそ次のとおりである。
当該短期大学は、山野愛子・山野美容専門学校初代校長の「美容教育を高等教育に」という願いに基づき、平成4年4月に美容芸術学科の単科短期大学として設立された、日本で初めての美容教育のための短期大学である。
その建学の精神は、創設者である山野愛子が求めた「美道」の精神をよりどころとして、「髪、顔、装い、精神美、健康美の五大原則に基づく『美道』の追究、実践」とされ、それに基づいて「美しく健やかな心身を創造することができる美容の理論と技術を持って、すべての人々の豊かで幸せな生活の維持、向上に貢献できる人材を育成する」という教育理念が確立している。
その後、平成8年に美容保健学科、平成11年に美容福祉学科が設置された。さらに、平成16年専攻科芸術専攻、専攻科社会福祉専攻が設置された。 美容芸術学科と美容保健学科の教育課程は、美容師資格の取得を主眼として編成されている。また、美容福祉学科は、美容師資格に加えて介護福祉士資格を3年間で取得することを目指している。したがって、3学科とも実習を重視した教育内容となり、優れた実践的教育活動が行われている。高い美容師国家試験合格率、開学以来の高い就職率は、特筆できる成果である。こうした成果の背景には、多数の実習を担当する教員の存在がある。
さらに、ファカルティ・ディベロップメント(FD)活動、スタッフ・ディベロップメント(SD)活動の中で、全教職員が美容実習を体験するなど、当該短期大学の特性を生かしたユニークな取り組みがみられる。
また、当該短期大学は、地域に根ざした学園づくりを目指して積極的な社会的活動を展開している。当該短期大学の特徴である美容・介護技術を生かしながら地元の八王子市との連携を下に、公開講座の開講・首都圏西部大学単位互換制度への科目の提供、美容室YCA Beauty Salonを開店しての地域の高齢者や障がい者の利用の便を図るなど社会的活動は高く評価できる。
さらに韓国や台湾などの東アジア地域の諸大学等とも交流協定を締結して研修生を積極的に受け入れている。加えて茶道・着付けの体験を目的としたアメリカンスクールインジャパンとの国際交流は恒例行事化するまでの成果をあげるなど、国際交流・協力には著しい成果がみられる。
当該短期大学は、美容福祉学科の定員確保を含め、財務状況に課題がある。こうした状況を理事長及び理事会は深刻にとらえ、改善計画を立てその実行に努めている。

2.三つの意見

本協会の評価のねらいは、短期大学教育の継続的な質の保証を図り、加えて短期大学の主体的な改革・改善を支援して、短期大学教育の向上・充実に資することにある。そのために、本協会の評価は、短期大学評価基準に基づく評価、すなわち基準評価的な性格に加え、短期大学の個性を尊重し、短期大学教育の向上・充実に資する評価、すなわち達成度評価的な性格を有する。
前述の「機関別評価結果」や後述の「領域別評価結果」は短期大学評価基準に従って判定されるが、その判定とは別に、当該短期大学の個性を尊重し、短期大学教育の向上・充実を図る観点から、本協会は以下の見解を持つ。

(1)特に優れた試みと評価できる事項

高等教育機関として短期大学が有すべき水準に照らしたとき、本協会は、当該短期大学の取り組みのうち、以下に示す事項については優れた成果をあげている試みや特に特長的な試みと考える。

評価領域Ⅰ 建学の精神・教育理念、教育目的・教育目標

○ 建学の精神と教育理念を理解する副読本として、理事長・学長の著作『思えば叶う』『生きるほどに美しく』『YES,YOU CAN ver.2.0』の3冊を教職員、学生に配布し、読後に感想文を提出させて理解を深める努力をしている。

評価領域Ⅱ 教育の内容

○ 学生による授業評価は平成11年度より毎年実施されている。その結果、多くの項目において4.0(5点満点)ポイント以上の評価を得ている。 学生たちが満足していることがうかがえる。

評価領域Ⅲ 教育の実施体制

○ 茶道裏千家の「今日庵東京研修道場」を譲り受けて復元した茶室で、授業や部活動のほかにオープンキャンパス、学苑祭等の行事でも利用している。伝承美ということを学ぶに当たって適した教育施設である。
○ 外国人教員が担当するサロン英語コミュニケーションが展開されており、国際的な活躍のできる美容師を育成している。

評価領域Ⅳ 教育目標の達成度と教育の効果

○ 美容師資格取得率は91.2パーセントと高い割合で、就職希望者に対する就職率が100パーセントである。国家資格取得のための指導がしっかりと行われている。

評価領域Ⅴ 学生支援

○ 医務室と学生相談室併せた保健管理室を設け、精神科の医師、看護師、精神保健福祉士を配置し、健康管理・メンタルケアなどに対する体制が整備されている。 また、弁護士資格を有する非常勤講師による法律相談を実施している。

評価領域Ⅶ 社会的活動

○ 地元の八王子市を中心とする地域社会における公開講座などについて、美容技術や介護福祉技術を実践しながら、例えば「たのしい美容とワークショップ」や八王子市主催の「いちょう塾」への参加や、その他ボランティア活動に積極的に取り組んでいる。
○ 韓国・台湾・香港など東アジア地域の諸大学等と交流協定を締結し、国際交流・協力に積極的に取り組んでいる。また、国際理解教育として、全学的に9日間のヨーロッパ研修旅行を実施している。

(2)向上・充実のための課題

本協会は、以下に示す課題などについて改善がされれば、当該短期大学の教育研究活動などの更なる向上・充実が期待できると考える。
なお、本欄の記載事項は、各評価領域(合・否)と連動するものではないことにご留意願いたい。

評価領域II 教育の内容

○ 美容師法の規定に縛られた教育課程の編成は理解できるが、教養科目がより明確になるような教育課程の編成が望まれる。

評価領域IV 教育目標の達成度と教育の効果

○ 休学・退学については、平成18年度から20年度にかけて全体として改善の傾向がみられるものの、より一層の退学者、休学者減少に向けての改善が求められる。

評価領域VI 研究

○ 教員は研究の成果を教育に生かすという基本的な使命に加えて、その成果を公表する義務を負っている。それぞれの分野での学会発表や学会誌・紀要などでの研究成果の公表に努力すべきである。

評価領域VIII 管理運営

○ 教授会に全員が出席できる環境になっていないので、開催場所や日程を工夫して、全員が出席できるよう改善が望まれる。

評価領域IX 財務

○ 学校法人全体と短期大学部門の収支バランスが悪く、支出超過となっている。余裕資金はあるものの、流動比率(流動資産/流動負債)が低く、厳しい財務状況である。
全国初の美容師養成の短期大学の特色を生かして、安定した財政基盤を確立するよう中・長期的な財務計画の策定が必要である。

(3)早急に改善を要すると判断される事項

以下に示す事項は、問題・課題などが深刻であり、速やかな対応が望まれる。
なし

3.領域別評価結果

各評価領域の評価結果(合・否)を下表に示す。また、それ以下に、当該評価領域を合又は否と判定するに至った事由を示す。

評価領域 評価結果
評価領域I 建学の精神・教育理念、教育目的・教育目標
評価領域II 教育の内容
評価領域III 教育の実施体制
評価領域IV 教育目標の達成度と教育の効果
評価領域V 学生支援
評価領域VI 研究
評価領域VII 社会的活動
評価領域VIII 管理運営
評価領域IX 財務
評価領域X 改革・改善

評価領域Ⅰ 建学の精神・教育理念、教育目的・教育目標

当該短期大学の創設者である山野愛子が求めた「美道」の精神をよりどころとして、「髪、顔、装い、精神美、健康美の五大原則に基づく『美道』の追究、実践」という建学の精神は確立している。また、建学の精神に基づく教育理念は、「美しく健やかな心身を創造することができる美容の理論と技術をもって、すべての人々の豊かで幸せな生活の維持、向上に貢献できる人材を育成する」として、学生生活の手引き、履修要項、大学案内、ウェブサイトに明示されている。
さらに、建学の精神・教育理念について、教授会で定期的に点検・確認するとともに、教職員の夏季研修会においても関連するテーマを設けて研究発表、議論がなされ、周知する努力が継続されている。学生に対しても、建学の精神・教育理念を理解するための副読本を必読文献として、読後の感想文の提出を義務付けているなど、周知を図っている。

評価領域Ⅱ 教育の内容

日本ではじめて「美容教育を高等教育へ」の熱意のもとに設置されたパイオニア的短期大学であり、教育内容については、美容師国家資格取得を核に各学科の教育課程が編成されている。教育課程は厚生労働省所管の「美容師法」「介護福祉士法」に定める区分により専門性を重視しつつ、各学科の教育目標を反映した編成となっている。 近年、大学における学士力の向上、人間形成上からの教養教育の必要性が指摘されていることなどを勘案すると、教養科目の位置付けが明確となるような工夫が望まれる。
美容師養成を主にした教育課程は、専門教育における必修科目が多く選択の自由度は狭くなる傾向は否めないが、講義科目及び演習科目において新たに50分×15回(1単位)の授業を設定し、選択必修科目を増設するなど、改善の努力は行われている。 シラバスには、建学の精神、教育目標、教育課程 履修登録から単位互換制度に至るまで詳細に記載されている。また、学生による授業評価は毎年実施され、その結果をみると、すべての項目において高い評価を得ており、学生の高い満足感がうかがえる。

評価領域Ⅲ 教育の実施体制

教育の実施体制は学生の本務である学びを保障する上で非常に大切である。当該短期大学では適正な教員組織が整備されており、教育環境についても通常備えておかなければならないものについて整備されている。その中でも特に目を見張るものは、茶道裏千家の「今日庵東京研修道場」を譲り受けて復元した茶室であり、実習授業や部活動のほかにオープンキャンパス、学苑祭等の行事でも開放され、広く利用されている。当該短期大学の特徴の一つとして、「伝承美」があげられているが、これを学ぶにあたって適した教育施設であり、その活用の努力もみられる。
外国人教員が担当するサロン英語コミュニケーションも展開されており、国際的に活躍のできる美容師を育成しており、これからの発展、展開が期待される。
図書館は学びと豊かな人間性を養う上で大切であるが、予算確保、蔵書数、閲覧室の利用など改善の余地がある。

評価領域Ⅳ 教育目標の達成度と教育の効果

授業に対するアンケート調査結果は、全体に4.0(5点満点)以上と非常に高く、満足度の高い授業を行っていることがうかがえる。各学科で教育目標が設定され、国家試験への対策も行われているため美容師資格取得率は91.2パーセントと高く、就職率も100パーセントで学生にとって魅力のある成果である。さらに、美容師国家試験を不合格で卒業した学生に対し、国家試験対策委員会による特別指導を行っていることが評価される。
4,658人の卒業生を輩出し、定期的に同窓会でアンケートを行っている。その中、図書館や食堂に関しては、相対的に満足度が低いため、結果を改善に役立てることが望ましい。

評価領域Ⅴ 学生支援

学生支援は学生の本務である学びと共に、豊かな人間性を養う上で重要である。特に短期大学では限られた時間の中で、入学から就職までの学生生活支援から進路支援までと多岐にわたる支援が必要である。当該短期大学では「学生生活の手引き」を作成し、その中で、きめ細かな支援体制が明確に記述されている。快適で充実した学生生活を過ごすために、キャンパスにおけるマナー・ル-ルが示され、きめ細かに指導されている。また、問題を抱えている学生のため、健康相談、法律相談などを設け専門家が対応できる体制が整っている。全学的には学生指導推進プロジェクトを設置し学生委員会と連携して、多様な学生に対する学習支援と生活支援の両面から支援を展開している。
進路支援に関しては、キャリア支援センター等を開設し、就職情報の提供、ガイダンスの開催、個別相談など支援の措置が講じられている。就職状況は、開学以来、就職率100パーセントを維持している。

評価領域Ⅵ 研究

研究を進めるための条件としての設備については適切である。研究費は十分とはいえないが、これらの現況にあっても十二分な研究成果をあげている教員が存在することから改善を要請するまでのものではない。しかしながら、教員全体の研究活動を概括すれば必ずしも活発とはいえない。
3年間に著書・論文数が0という教員が少なからずいるので、なお一層の研究活動の活性化が求められる。また科学研究費補助金や外部からの研究資金の調達を積極的に行う必要がある。しかし特別研究費を設け、学内研究発表会の開催やジェロントロジー検討委員会を発足させ共同研究の外部公表の促進を図り、かつ、共同教育・研究センターで研究方法論の検討や外部研究補助金の導入に関するセミナーを開催するなど、全学的な改善に取り組んでいることなどは評価される。

評価領域Ⅶ 社会的活動

建学の理念とその目的の達成のために、当該短期大学の特徴である美容・介護技術を生かしながら地元の八王子市との連携をもとに、公開講座の開講・首都圏西部大学単位互換制度への科目の提供、美容室YCA Beauty Salonを開店しての地域の高齢者や障がい者の利用の便を図るなど社会的活動については十二分に評価できる。
また、ボランティアの推進や地域活動等を通じて学生の社会的活動を勧奨するなどして、学生の社会的活動を積極的に展開している。さらに韓国の淑明女子大学校や台湾の建国科技大学などの東アジア地域の諸大学等とも交流協定を締結して研修生を積極的に受容している。加えて茶道・着付けの体験を目的としたアメリカンスクールインジャパンとの国際交流は恒例行事化するまでの成果をあげるなど、国際交流・協力には著しい成果がみられる。

評価領域Ⅷ 管理運営

学校法人の運営全般に理事長のリーダーシップが適切に発揮されており、理事会及び評議員会は私立学校法、寄附行為に基づき運営されている。また、監事は寄附行為等に基づき適切に業務を行っており、学校法人の管理運営全般が適切に行われている。
当該短期大学の運営全般に学長のリーダーシップが適切に発揮されており、教授会は、一部審議のあり方や開催場所について見直しが求められるが、当該短期大学の意思決定機関として運営されている。事務組織の規模は適当であり、業務執行は適切に行われている。また、事務局運営会議を定例開催して事務処理の改善に努めている。学校法人は教職員の就業に関する規程を整備し、それらを教職員に周知するとともに、規程に基づいて適正に処理している。また、教職員の健康管理は、定期診断等の実施により適切に行われており、就業時間についても就業規則等に基づき適切に業務を行っている。

評価領域Ⅸ 財務

事業計画及び予算は、理事会、短期大学関係者の関与のもとに決定しており、決定した事業計画、予算は適切に執行されている。また、財務、経理、出納は、必要な承認手続で円滑に行われており、日常的な出納業務は、所管担当責任者を経て理事長に報告されている。学校法人の経営状況及び財政状態を適正に表示しており、財務情報を適切に公開している。学校法人全体の過去3ヶ年と短期大学部門の平成20年度及び18年度の消費支出比率が100パーセントを超えて支出超過となっている。余裕資金はあるものの、流動比率(流動資産/流動負債)が低く、厳しい財務状況である。しかし、平成19・20年度に定員割れ改善計画を策定し、定員確保に取り組むなど、短期大学及び学校法人の関係者は、厳しい財政状況の事情を把握し、改善計画を立てその実行に努めている。施設設備に係る管理規程が整備され、危機管理対策や省資源対策がなされている。

評価領域Ⅹ 改革・改善

自己点検・評価の具体的方策の実施及び将来計画について必要な課題を審議するための「自己点検評価・改善委員会規程」が整備されている。 委員会の構成は学長を中心として、副学長、学科長、専攻科長及び専任教員の中から教授会において推薦された者と事務局長をもって組織している。また、報告書作成の円滑化を目的として報告書作成部会を設置している。この作成部会には、管理職以外の教職員が含まれることから、自己点検評価・改善については全学的な取り組みとなっている。
さらに、自己点検評価・改善委員会において改善が必要とされた事項については、所管委員会に指示を出し、改善を促すようにしている。