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講演「山階鳥類研究所の活動と生物多様性」

山野学苑第75回創立記念式典は5月29日、全学生と教職員全員が出席して、山野愛子メモリアルホールで開催されました。

開会あいさつで山野愛子ジェーン副学長は、「今年生誕100周年を迎えた山野愛子初代学長の美容への情熱と業績を学び、人を美しく、幸せにしてあげるために、美容の理論と技術をしっかり学ぶことを誓う日にしましょう」と呼びかけました。


<記念講演「山階鳥類研究所の活動と生物多様性」>
記念講演は、島津久永・山階鳥類研究所理事長兼世界自然保護基金(WWF)ジャパン副会長にお願いしました。
島津理事長は、アホウドリやヤンバルクイナなどの保護活動を詳しく紹介した上で、「地球上のすべての生物が生きていける多様性を守ることが大切です。人の心と身体を美しくする美容や介護の仕事を目指すみなさんは、地球環境の保全と生物多様性の維持に、もっともっと関心を持っていただきたいと思います」と訴えました。


*山階鳥類研究所は、1932年に山階芳麿博士が建設した「山階家鳥類標本館」を受け継いで、1942年に財団法人として設立された。約69,000点、3,300種以上の鳥類標本を保有し、その中には、日本に一つとか、世界でもほとんど残っていない絶滅した鳥の標本など、貴重なものが多い。

*羽毛採取のため絶滅寸前になったアホウドリを保護するため、伊豆諸島・鳥島で新しい繁殖地を作る活動に成功し、鳥島で生まれた雛を小笠原諸島・聟島へ移住させる活動を進めている。1年目の去年は10羽、2年目の今年は15羽の雛を2月にヘリコプターで聟島へ運び、研究員たちが親の代わりに餌を与えて育て、5月下旬までにすべての雛が無事巣立って行った。3〜5年後、聟島に帰ってきて繁殖することを期待している。

*1981年に発見された沖縄本島北部にしかいない“飛べない鳥”ヤンバルクイナは、2000年には半分の約1,000羽に減少し、絶滅の危険性がある。そこで減少の原因であるマングース、ノネコ、交通事故などから保護する活動を、環境省、地元の自治体、NPOとともに進めている。

*兵庫県でコウノトリを野生に帰す試みや、佐渡でのトキの放鳥など、日本で絶滅した鳥を復活させようというプロジェクトにも一役買っている。

*「生物多様性」とは、地球上の3,000万種にのぼる鳥、けもの、魚、昆虫、植物、微生物などの生き物が、バラエティに富み、複雑な生態系を形づくっていることを指す。そしてその一員である人間は、「生物多様性」から、酸素の供給、衣服、食べ物、住居(木材)、医薬品、化粧品の原料などの恵みを受けている。

*この「生物多様性」が、地球温暖化、気候変動、開発や乱獲、外来種の持ち込みなどによって、危機に瀕している。1,227種の鳥類を含む8,462種の動物、8,457種の植物が絶滅危惧種となっている。来年2010年には、愛知県で「生物多様性条約第10回締約国会議」が開催される。

島津理事長は講演の最後に次のように学生たちに呼びかけました。



地球環境がこれ以上悪化することを食い止め、生物多様性を守ること、これこそが21世紀の人類に課せられた最大の責務だと思います。地球上には森、野原、里山、川、湖、湿原、干潟、海などいろいろな環境があり、それぞれに固有の生き物が生息しています。みなさんの身近にもあるこれらの環境を守ることが、生態系を保ち、生物多様性の維持にもつながることになります。

昔から我が国では、花鳥風月といって、自然を愛し、花や鳥を描いた花鳥画や、和歌・俳句などの題材として鳥や自然が数多く取り上げられてきました。花や鳥は文化・芸術の面でも人間の生活を豊かにし、ゆとりを与えてくれる存在でした。

みなさんは人の心と身体を美しくするという美容や介護の仕事を目指しておられます。鳥は環境の変化にもっとも敏感な生き物です。鳥が住めなくなる地球になったら、遠からず人間も住めなくなるでしょう。鳥たちが安心して生きていけるような世界がいつまでも続くように、地球環境の保全と生物多様性の維持にもっともっと関心を持っていただきたいと思います。これから一番影響を受けるのは若いみなさん方の世代だからです。

世界の190カ国以上が加盟している「生物多様性条約」の第10回締約国会議が来年2010年10月、愛知県で開催されます。生物多様性の将来を左右する重要な大会になるでしょう。2010年は国際連合が定めた「生物多様性年」にもあたります。今後は、地球温暖化、気候変動という言葉とともに生物多様性という言葉が21世紀のキーワードの一つとなるでしょう。

山階鳥類研究所も生物多様性の維持に貢献することを目指して活動しています。そのための資金はご寄附と賛助会費に頼らざるを得ません。山野学苑には法人会員としてご支援いただいていますが、一人でも多くのみなさんが個人会員となってご協力いただければ、たいへんありがたく存じます。

<式辞・山野学苑第75回創立記念日にあたって> 山野正義・理事長学長


21万人にも上る美容師を社会に送り出してきた山野愛子初代学長は「思えば叶う」という精神を貫き通しました。自分の夢や理想をはっきりと描いて、「思えば叶うのだ」という前向きの気持ちをぜひ持ち続けてください。そして山野愛子初代学長のような美容師になるためには、まず「人の話を聞く」という姿勢を貫いてください。

山野学苑は現在、高齢社会で予測される諸課題を結びつけて検討する新しい学問である“GERONTOLOGY”の研究に着手しています。みなさんが20年後、美容と福祉の分野で活躍する時、“GERONTOLOGY”は大きな役割を果たすことになるでしょう。そのために山野学苑は本学の教員を中心にして委員会を設置して活動を始めています。

山野学苑の75年の歴史は貴重です。しかしその過去の歴史自体が大切なのではありません。大切なことは、その歴史に学んで、今日からみなさんが新しい歴史をどのように作るかということなのです。在学中も卒業後も、みなさんが自分の人生に向き合って新しい分野を切り開いた時、それが山野の新しい歴史になるのです。

創立記念日の6月1日は、全学休講です。どうかこの1日を使って、原宿でファッションの勉強をするとか、上野の美術館で芸術作品を鑑賞するなど、有意義に活用して、視野を広げるよう努力してください。
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今年の創立記念日は、山野愛子初代学長生誕100周年、山野学苑創設75周年の歴史の意味と、鳥類から昆虫にいたるすべての生物の多様性を守ることの意義を考える良い機会となりました。


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